現役をしながらセカンドキャリアを生きるということ【プロサッカー選手・岩政大樹の現役目線】
僕はJリーガーには向いていなかった
Jリーガーに向いていなかった僕
決断したのは2017年が明けるかどうかの時だったと思います。山口の実家に家族と帰っていた僕は、このアイデアを最も推進していけるクラブとして、東京ユナイテッドを選択しました(他にもたくさんの理由が絡んでいますが、ここでは省かせていただきます)。
サッカー選手としての再スタートを切るのと同時進行で、色々なことが動き始めました。決断するまでは何がどうなっていくのか真っ白だったものが、次から次へと動いているうちにどんどん塗りつぶされていきました。
最初は不安ばかりの中で慌ただしく新たなことにチャレンジしていきました。一年が経ち、やっと色々なことを冷静に見られるようになってきましたが、それでも毎日慌ただしく過ごしていることに変わりはありません。
解説者にしても、コーチにしても、連載や本を書くことにしても、今年始めた仕事はどれも「これだけやったらいい」という”終わり”がありません。時間が許す限り、より良い自分にしていくための準備をしなくてはなりません。僕は、それらを時間で区切りながら、そのどれも突き詰めていこうと一年を過ごしてきました。
これを一年間続けてきて、今、僕は一年前の選択を「良かった」と思っています。
サッカー選手をやめるかどうか悩む年頃になると、いろいろ人から「やれるまでやった方がいい」と言われます。「絶対に後悔するから」と。しかし、僕はこれまでJリーガーをやめたことを後悔する気持ちに一度もなっていません。むしろ、Jリーガーという仕事は本当に僕に向いていなかったんだな、と感じています。
Jリーガーをしているときは毎日が劣等感との戦いでした。その戦いの中で成長できたことは今の僕の全てになってくれていますが、もう僕はその毎日を生きるだけの力が残っていなかったのだろうと思います。